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7人に1人・・・。日本での「子供の貧困」ってどういうことなんだろう?
気になる社会問題として、子供への虐待事件についての記事を以前書きました。
その後も変わらず、ニュースでは虐待事件の報道が続いています。本当に胸が痛みます・・・。
そして、同じようにニュースや新聞で取り上げられることが増えた社会問題として「子供の貧困」があります。虐待との関連も浅くはない、この問題について考えてみたいと思います。
イメージが湧きづらい現代日本での「貧困」
まず、「貧困」の定義とはどういったものなのでしょう?
厚生労働省では、指標の一つとして「相対的貧困率」を用いています。これは、世帯の手取り収入中央値を世帯人数の平方根で割った額の半分に満たない世帯の割合。ちょっとわかりづらいですが、2012年時点では、手取り年収122万円に満たない1人世帯、2人世帯なら約173万円、3人なら211万円という計算。(参考:厚生労働省「国民生活基礎調査(貧困率)よくあるご質問」他)
2014年7月に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、そこに該当する17歳以下の子供の貧困率は16.3%でした。この数値を見ると、単純計算として日本の子供の6人に1人、約326万人が貧困状態となります。
⇒更新:2017年に発表された、2016年の「国民生活基礎調査」の結果、子供の貧困率は13.9%に。前回より、2.4ポイント低下し12年ぶりに改善しました。7人に1人という割合です。
小学1年生の息子のクラスは、33人。統計的に言えば、その中の4~5人ほどは貧困ということになります。高い比率ですが、、うーん、、、やっぱり実感湧かないです。

「普通に」生活している一般市民にしてみると、貧困と言われてもどういったことなのか想像できないのではないでしょうか?
貧困といえば、ボロボロの服装をして食べるのにも困る生活というイメージがあります。でも、現代の日本でそのような「わかりやすい」貧困は起こりにくいと言われています。服も食べ物も、低価格の品は世の中に溢れていますし、手にいれるのも簡単です。親も子も貧困状態であることを隠したい意識が働けば、表向きには普通の生活をしているように見せることもできます。
そのような背景があり、子供の貧困は周囲から見えづらく孤立を深めていく原因になっていると言われています。
「子供の貧困」の問題点とは
世間的な世帯手取り年収の半分で暮らすということ。これが、子供たちにとって、どのような問題を生むのでしょうか?
そもそも、日本は「教育」「育児」における親の負担が非常に高い国です。高校・大学と、高等教育を受ける為の進学時にかかる費用はもちろんのこと、希望の進学先に進むための公的機関以外の教育費(塾・習い事)は、高額です。わが家もこれからかかってくるだろう子供の教育費のことを考えると、ため息つきたくなります(汗)
一般的な世帯年収の家庭でさえ、教育費は重くのしかかってきます。それが貧困家庭になると、その負担感は大変なものになります。
また、貧困家庭では、旅行に出かける、観劇や美術鑑賞等の文化的娯楽、季節の行事を祝うといった、生きていく上では必要ないけれど、感性を育み視野を広げるきっかけにかける費用がなかなか捻出できません。
更に、貧困家庭では社会的に弱い立場に置かれている親が多く、経済面以外にも時間的・精神的なゆとりがないことも多いのです。生活がひっ迫している為、子供と余暇を過ごす余裕がない、食事を一緒にとる時間がない。更に、ひとり親世帯、親が何らかの依存症、虐待、ネグレクト等、複雑な要因が絡んでいることもあります。
そうすると、豊かな感受性を磨く為の様々な経験や機会を得られない、人との関わりの中で身に付ける社会性が育たない、自己肯定感が低いなど、子供の成長過程において経済面意外の問題も引き起こすのです。
子供の力ではどうしようもできない、親世代から持ち込まれてしまう格差。この格差が広がり、固定化されてしまうことが懸念されています。
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「かわいそう」という感情論ではなく
日本財団が2015年12月に「子どもの貧困の社会的損失推計」というレポートを全文公開しました。
「貧困」と聞くと、どうしても自分とは関係ない、それぞれの家庭ごとの問題として捉えがちです。しかし、このレポートでは、子供の貧困を放置した場合の経済的影響について解説しています。現在15歳の子ども1学年に限定しただけでも、社会が被る経済的損失は約2.9兆円になり、政府の財政負担は1.1兆円増加することになるとか!!
全文を読んだのですが、ざっくりした内容としては・・・
- 幼児教育の重要性を説く「ペリー就学前計画」の解説
- 貧困世帯の進学状況、就業状況のデータ
- 性別・就業形態別・学歴別の賃金カーブの推計
- 税・社会保険料負担の現状
- 貧困問題を改善した場合のシナリオによる予測データ
です。
つまり、貧困による中卒・高校中退率が下がり、専門学校・短大・大学進学率が上がった場合、その後の就業形態(非正規雇用から正規雇用での労働など)が変わる。それに伴い生涯に渡る賃金カーブも上昇、税収が増加していき、生活保護費などの社会保障費を減らすことができるといったシナリオがレポートされています。(全文はこちらの pdf からご覧いただけます)
こういった視点から考えると、子供の貧困が単純に「かわいそう」と言うだけでは済まされない社会問題であることがわかります。
どのような対応が取られているの?

国の政策としては、平成26年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されました。法律にしないといけないほど、差し迫った問題なんですね。内閣府では、「子供の未来応援基金」を設置しています。
このように国としての対策推進の他、民間でも貧困への対策が広がっています。
例えば、地域で子供を見守る、無料の学習支援活動を行うなどのNPO法人が数多く存在します。また、全国的に増加していて注目を集めているのが「子供食堂」。これは、地域の大人が子供に無料や安価でバランスの良い食事を提供するという取り組み。貧困家庭だけを対象としているわけでなく、ひとりで食事をとる「孤食」の子供にも安心して過ごせる場所を・・・として始まりました。地域の方々がサポートしやすい敷居の低さもあり、活動が急速に広がっています。
地域でのつながりが薄れている現代、このような安全な子供の居場所が増えるのは本当に素晴らしいことですね!
リンク: こども食堂ネットワーク
ニュースで見聞きしていたものの
子供の貧困問題に関心を持ちつつも、毎日の忙しさに追われて、深く考えたことはありませんでした。でも、今回詳しく調べて、貧困というのはどういった状況なのか、またどのような問題を引き起こすのかといった具体的な部分がだいぶわかりました。
貧困にあえぐ子供は、親の側にも救いの手を差し伸べないと解決にはならないですよね。親側が精神的にひっ迫している場合が多く、社会的に孤立していることも多いです。公的な支援を受けるにも、その情報にアクセスする術がなかったり、そもそもそういった知識がなかったり。。。厳しい生活状況の中では、親も子も追い詰められた精神状態になるのは想像できます。苦しい中から抜け出そうにも、思考が停止して前向きな気持ちに自分で自分を鼓舞するのは難しいと思います。意識自体が、社会の方へ向いていないということもあるかと思います。
虐待にも同じことが言えますが、親の困難な背景が子供に「連鎖」していくことを避けなければいけません。
私個人は本当に微力です。それでも小さな声ですが、こうして発信することで誰かのココロに何かが芽生えれば・・・。私は私なりにこれからもできることを考えて、子供たちの未来が明るくなるようにちょっぴりでも行動していきたいと思います。
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