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【インタビュー】シックvsカワイイ!?フランスと日本を行き来する「私」が見るそれぞれのライフ&カルチャー
Sympa!を読んでくださっている皆さんは、仕事に家事に育児にと目まぐるしい毎日を送っていることと思います。
特に子育てをしていると、毎日起きる身近な問題を処理していくだけで精いっぱい。どうしても視野が狭くなりがちではないでしょうか。そこで、たまには目線をグッと海外に広げてみませんか?しかも、旅行ではなく、生活や文化といった切り口で!
今回はお仕事の関係で、年間を通じてフランスと日本を何度も行き来しているという、SympaなアラフォーRosaさん(仮名・日本人)にお話を伺いました!Rosaさんが感じている、それぞれの国の違いとは?
ラテン気質!?フランスのおおらかな文化
Sympa(以下S):お仕事について教えていただけますか?
Rosa(以下R):フランス系企業に勤務しています。出張で1カ月に1度はフランスを訪れています。
S:そこまで行き来が多いと、フランスと日本の違いを何かと感じそうですよね。フランスを幾度となく訪れる中で、それぞれ優れていると感じる点はありますか?
R:フランスの良いと思う点は・・・。あまり”生活”として深い事は分かりませんが、フランス人は様々な状況において柔軟性があるかな、と思います。やはり日本人は色んな意味で”真面目”なので・・・。あ、フランス人が不真面目という意味ではないですけれど(笑)『あ、失敗しちゃった・・・。どうしよう・・・』みたいな状況に直面しても、フランスだと、たとえ規則であっても、その場に応じて考慮してもらった、というような事が私の経験上多くありました。
S:日本だとオフィシャルな場では、柔軟な対応はあまり期待できないですよね。もっと厳格な雰囲気というか。
R:もちろん、失敗してすごく怒られる・・という事もありましたが、どちらかというと、
”C’est pas grave(セ・パ・グラーヴ)(大した事じゃないよ~)”とか
”Ca arrive pour tout le monde(サ・アリーヴ・プール・トゥ・ル・モンド)”(誰にでもある事よ~)
みたいなフレーズを良く使うような。この言葉、本当に救われますし、こういう時には”あー外資系企業で良かった~”といつも思うんです(笑)
S:確かにそんな風に言ってもらえたらありがたいですね。おおらかで羨ましい(笑)
R:こういう時、日本では逆に『規則です。以上』とか、失敗して怒られる、という感じになるので緊張感が続きます。
S:なるほど。では、日本の良い点というのはどういった部分で感じますか?
R:それは本当にたくさんあります。海外を見て、こういった日本の良さは強く感じますね。
S:具体的にはどういったところでしょうか?
R:日本は全てにおいて、本当に”きちんと”しています。街や生活全般において清潔なのはもちろん、人に対しても、時間の感覚や、全てにおいて、丁寧というか、”きちんと”しています。
S:確かにその”きちんと感”は随所に現れていますよね。公共の場では特に。
R:あと、”空気を読む”という感覚は日本ならではの美点だと思っています。相手を思いやる優しい心、協調性・・・という事でしょうか。
S:「察する」って、翻訳が難しそうですよね(笑)
R:ただ 悪く言えば ”言わなきゃわからない”海外においては『主張がなく、何を考えているか分からない』とも思われがちなので、紙一重ですが・・・。
S:前回の英語教育に関するインタビューでも同じような意見がありました。自己主張が弱いという部分は、良くも悪くも日本人の特徴といえそうですね。では、生活する上で、ここが不便!というところはありますか?
R:フランスは、公共の乗り物が時間通りに来ない(笑)。そして、本当にびっくりするくらいストが多い国なので、これにはいつも泣かされています。公共の乗り物のストだけでなく、空港職員のスト、長距離バスの荷物出し入れの職員のスト、清掃員のスト、美術館のスト・・などあらゆる場所であります。日本はたとえ2分くらいの遅れでも”只今2分遅れの発車となりました。大変ご迷惑をお掛けしました事をお詫びいたします”というアナウンスがあって、フランスとの違いに腰を抜かしそうになりました(笑)
S:日本人はそれに慣れてしまって、時刻表通りに来ないことに過敏になり過ぎているかもしれませんね。
フランスでは不倫はアリ?ナシ?
Photo by JULIAN MASON
S:さて、”パリジェンヌ”という言葉があるぐらい日本の女性から憧れを持たれるフランス女性ですが、Rosaさんが知っているフランスの女性は、どんなタイプが多いですか?
R:自立している。自分を持っている。意見、生き方がしっかりある。流行に飛びつかないというか、その人その人のアイデンティティが確立している。というイメージを私は持っています。
S:成熟した真の意味での大人の女性ですね。日本の女性はアラフォーでも「ジャニーズアイドルが好き!」と公言する人も珍しくないですが、フランスの女性にもそういったことはあるのでしょうか?
R:アイドルに夢中になる事・・・私が思うに、あまりないと思います(笑)
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他に”夢中になる”を考えた場合、私の同世代のフランス人女子の友人を考えた場合、その人にもよりますが学校に通って資格を取ったり、ダンス教室に通ったり、あとは趣味の演劇や映画に行ったり・・・そういったプライベートを各自で充実させて楽しんでいるという印象があります。あと、架空の人よりかなり身近でいつも恋愛しているのではないかな、と思います(笑)
S:「いつも恋愛しているのでは?」という部分ですが、日本で何かと話題になる”不倫”については、フランスの文化としてどのように捉えられているのでしょうか?
R:不倫に関しては人それぞれだと思いますが、実際 ”ありえない!”と公言している男性も女性もたくさんいます。でも、”好きになったら仕方ないでしょ~”というような自由恋愛をしている人も、もちろんいます。要は 人それぞれ、という感じかもしれないですよね。何せ現大統領、前大統領の例をとっても・・分かると思います(笑)
S:確かに(笑) 不倫に関しては、国の違いというより個人の考えやモラルの部分が大きいかもしれないですね。不倫というのは、”婚姻関係以外の者との男女関係”と定義されているのが一般的。フランスではそもそも法律的な婚姻関係を結ばない”事実婚”が多いと聞きます。Rosaさんの実感として実際にそういう形式のカップルは多いと感じますか?また、子育てする上で事実婚で不都合はなさそうですか?
R:プライベートも詮索しすぎないので、あまり踏み込んでこういう質問はしませんが、カップルが一緒に住む事は普通によくある事だと思います。また、フランスでは婚姻関係と同じような制度も整っているので、あまり不都合はないと思います。
S:社会的に制度が整っていることもあって、周囲も特別視しないんですね。日本だと、まだまだ法的な部分を含めて、事実婚は一般的でないのが現状ですよね。なので、子供を持つなら結婚しないと子育てしづらい。このあたりは、今後変えていける余地がおおいにありそうだと感じます。
フランス女性の「オシャレ番長」は都市伝説!?
S:ファッションについても聞かせてください。フランスの女性といえばとてもオシャレなイメージがあります。Rosaさんが見るフランスの女性達のファッションはどのようなものでしょうか?
R:とてもシンプルだと思います。一般的には、”パリスタイル”というイメージがあるのか、お洒落番長風な女性が多いという印象を持っている方も少なくないようですが、実際には、例えばVogueやElleなどの最先端の流行マガジンに載ってそうなファッションや、セレブ系のスタイルをする人は、ごく一部な印象があります。もちろん、そういう方もいらっしゃいますが、一般的な女性は シンプルに個性を出し、流行に飛びついたりという事はなく、独自のスタイルを持っている印象があります。
S:なるほど。流行発信地、最先端モードの国というイメージですが、一般的なフランス女性はあまり流行に乗ることはないんですね。
R:それと、日本のような”カワイイ”系はほぼ見られないです。例えば、10代で考えると、日本では華やかでカワイイ女の子らしいスタイル。色はピンクや淡い色、リボンや花柄などのモテ系だとしたら、フランスのティーンネイジャーは、クールかつセクシーで、シンプルなモノトーン系。色は黒、グレーなどのダークトーン。学生さんは革ジャンにシャツ、ジーンズ、ワンレンロングみたいな子がほとんどです。
S:日本のCanCam、JJといったキュート路線のモテ系ファッションとは対極ですね(笑)
R:ブランドで言うならば、ロンシャンのナイロンバッグやバネッサブリューノのトートバッグが良くみられる気がします。日本のようなハイブランド所持率は、若い世代では少ないと思います。
S:お話を伺っていてフランスの女性は、”自立”や”シンプル”、”自分らしさ”がキーワードになっているように感じました。最後に、Rosaさんが感じる、日本の女性の美点についてお聞かせください。
R:優美、誠実、エレガンス。こうったものを兼ね揃えた芯の強さもあるしとやかな女性が日本人女性だと私は思っています。
S:日本人ならではの女性らしさ。私たちアラフォーは、そのあたりをもっと意識してもいいのかもしれませんね。自戒を込めて・・・。興味深いお話ばかりでした。ありがとうございました!
お話を伺って
長年に渡って日本とフランスを行き来する生活を送っているRosaさん。フラットな目線で両方の国を見ているRosaさんのお話は、とても興味深いものでした。
フランスの歴史が誇る華麗なロココ調や荘厳なゴシック建築とは裏腹に、現代のフランス女性の生活やファッションはごくごくシンプルなようですね。その根底にあるのは、「個」や「意思」を何よりも尊重するフランス人の精神性が関係していると感じました。個人としてのアイデンティティが確立しているから流行に乗る必要性を感じず、画一的な女らしさをアピールする服装が好まれないのかもしれません。
日本は、秩序や規則がきちんとしているゆえに安全で便利な生活を送れますが、時にはそれが少々きゅうくつに感じることも・・・。でも、Rosaさんがお話していたように、協調性や優しさは日本人の美徳です。また、繊細さや緻密さは、日本の伝統芸能や食文化、建築など随所に活かされていると思います。
私たちは日本の素晴らしい文化をもっと理解して、大切にしてもいいのかもしれません。その上で、フランス女性のような自立した精神性を持てたら・・・。
ちょっと、理想が高すぎかもしれませんが(笑) 日本のアラフォー女性は、今以上にもっともっと魅力的になれる気がしました。
Rosaさん、お忙しいお仕事の合間、貴重なお話を聞かせてくださってありがとうございました!
Top Photo by Moyan Brenn
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